大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和25年(う)2149号 判決

刑事訴訟法第三百二十六条にいわゆる同意は裁判所に対する意思表示としてなさるべき訴訟行為であることは所論の通りである。原審における検察官の所論各事実の立証に関して、原審第三回公判調書によれば、「検察官は云々立証するため、左記書類に付て被告人及弁護人の同意を得た上一、速水はつゑの詐欺被害上申書一通、二、日置幸雄の詐欺被害上申書一通、三、日置幸雄の上申書一通、四、五味邦夫の上申書一通その他の取調を請求しその立証趣旨を述べた、被告人及弁護人は、右取調請求に異議はないと述べた、」とあり、また原審第四回公判調書によれば、「検察官は云々立証の為証拠と為す事に付被告人の同意を得た上、(1)早川友一の上申書一通その他の取調を請求し且立証趣旨を陳述した、被告人及弁護人は右取調請求に異議なく当方より申請する証拠はないと述べた」とあつて、右のような各調書の記載方法では多少不充分の憾はあるが、なおこれによつて右各証拠書類につきいずれも被告人側において原裁判所に対しこれを証拠とすることに同意を表示したものと認めるに足り、また同各公判調書につき夫々その前後の記載要旨を検するも右認定を妨げるような点は何等存しない。(特に右早川友一の上申書は原判示第二の(三)の小切手騙取の犯行事実に関するものではあるが、単に該小切手金が銀行より払出されている事実の立証に供されたに過ぎないものであることは右公判調書、同上申書の記載によつて明らかであつて、被告人が右犯行を否認しているからとて、右上申書につき前記の同意をすることがあり得ないものということはできない。)かくて前記各証拠書類については、検察官の取調請求に対し被告人側よりいずれも刑事訴訟法第三百二十六条にいわゆる同意があつたものとなし得べく、而して同各書類の形式、記載体様等に徴し夫々その作成されたときの情況を考慮し相当と認めるのであり、その他原審で各適法な証拠調を経たものであることは前記各公判調書により認められるので、原判決において右各書類を所論の如く罪証に供したのは当然であり、原審の判決並に訴訟手続に何等所論の如き違法の点はなく、論旨は理由がない。

(註 本件は量刑不当により破棄自判)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!